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2006年02月01日

●消耗品商売のナゾ

パソコン用プリンタは本体を安く売って交換用インク・トナーで儲ける典型的な消耗品商売なのは有名な話だが,先日その実態を垣間見る機会があった。

職場で買ったのはモノクロ・A3・両面印刷対応で実売8万円台(トナー1個付き)というN社の激安レーザープリンタである。筐体はコンパクトで,安い割には印字もそこそこ速くジャム(紙詰まり)も少ない。1年3ヶ月の利用で総印字枚数は4万ページ超といったところで,なかなか重宝していた。

ところが,突然印刷結果に汚れが付くようになった。マニュアルを見て清掃してみたが改善しない。定期保守は10万枚なのでまだ余裕があるはずである。汚れは直径5ミリほどのシミが等間隔に1列に並ぶというもので,薄い汚れなので社内資料として使うならガマンできなくもないのだが,「お客さんに汚れた資料出せないから早く直して」と上司に言われてしまい,仕方なく修理の手配である。

どんな用事でもサポセンとやり取りするのは疲れる。幸いN社の電話サポートは数分待たされただけですぐにつながった。症状を伝えると「出張修理になります」とのこと。「症状を見て,その場で修理見積りを出します。ただし修理してもしなくても出張費用8千円と診断費用3千円はいただきます」という。個人ユーザならかなり悩むところだ。

幸い会社の金なので出張修理をお願いすると,以後は修理専門の関連会社とのやり取りとなる。サポセンから修理会社に個人情報を流しても構いませんか?と許諾を求められるが,ここで断ったら修理してもらえないのだろうか?

翌営業日には修理の人が来てくれた。症状を再現させて点々と付くシミの間隔を測ったりしている。汚れの原因を聞くと,トナーカートリッジの感光ドラムに汚れ(欠陥)がありますという。しかしトナーは2週間前に交換したばかりだ。というと「ええ,お客様のトナーカートリッジは純正品ではございませんので。そういうことはよくありますよ」と言われた。

トナーは会社が一括契約している指定会社が扱っているリサイクルトナーカートリッジだ。箱を見ると確かにN社とはどこにも書いていない。そういえばこのトナーは8千円ほどで,「昔に比べてトナーも安くなったなぁ」と喜んで予備をいくつも買っている。安いのは純正じゃなかったからだったのか。

この手の非純正カートリッジは,リサイクル業者が純正の使用済みカートリッジをあらゆる手段で入手して,それにトナーの粉を詰めて売っているシロモノだという。最近のトナーカートリッジはIC内蔵だったりして,他メーカーが勝手に作ることは出来ないのだそうだ。純正カートリッジを手に入れるため,メーカーの定期保守を装って会社を訪問し,トナーのチェックと交換(回収)をしていく強引な業者もいるという。

ということで,予備のカートリッジに交換したら確かに汚れは出なくなった。要するに,出張費用と診断料を払って「安物のカートリッジ使ってるからダメなのよ」と言いにきてもらったわけだ。

いくら安くても信頼性が劣る非純正リサイクルトナーを使うよりは,多少高くても純正品の方が安心だろうと,あとで値段を調べてみたら純正新品のトナーカートリッジは,なんと定価4万2千円もする!。いくら消耗品商売といっても本体の半額というのはやりすぎではないか

10万枚の定期保守にも罠があると修理の人は言っていた。このクラスだと保守するよりも新品を買った方が安いかもしれませんというのだ。個人や会社なら迷わず古い機械を捨てて新品を買えばいい話だが,役所ではそうはいかないらしい。その人が言うには,「役所では機械を買い換えるというのはとても大変で,いくら高額であろうとも保守や修理をして使い続けてくれる」のだという。増税の前にもう少し考えることがあるでしょうと,政治に疎いWebmasterでも思う今日この頃である。