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2006年02月21日

●SF本読了 老ヴォールの惑星

「老ヴォールの惑星」(小川一水)[bk1]読了。小川一水は第六大陸復活の地で高評価を受けている新進の作家だが,Webmasterはいずれも未読だ。好みに合う作風かわからないのに長編をいきなり買うのはどうかと思い躊躇していたのだ。老ヴォールの惑星は中篇集ということで作風を見るにはちょうどいいと思って最初に選んでみた。

ところが読んでみるとこの中篇がいずれも素晴らしい。ハードではないのだが,思索的で読後感が良い。雰囲気はテッド・チャンに似ているだろうか。Webmasterと同年代ということもあり,今後も注目したい。

個々の収録作品については以下。

ギャルナフカの迷宮
異世界モノ。バビロンの塔(テッドチャン「あなたの人生の物語」収録)を思い出してしまった。自分が投宮刑にされたらどんな行動を取るだろうかと考えながら読むと楽しい。

老ヴォールの惑星
(人類にとっては)過酷な環境の惑星で発生・進化した知的種族の考察とファーストコンタクト。

幸せになる箱庭
コピー,ビジター,アルファレベルシミュレーション,マトリックス界,リング界,そしてトランザウト。自意識の連続性。現実と仮想現実の境界。

漂った男
これも自分がこんな目に遭ったらと考えてしまう。設定は遠未来。