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2006年06月10日

●真のハッカー

日経ビジネス2006年5月1日号より

気象予報,宇宙開発などの研究に欠かせないスーパーコンピュータ(スパコン),世界の技術者たちが,スピード競争にしのぎを削る世界で,1人の日本人が脚光を浴びている。後藤和茂氏,37歳。米テキサス州立大学のアドバンスト・コンピューティング。センターに勤務する研究者だ。彼の開発したソフトウェアをスパコンに組み込むと,まるで魔法でもかけられたかのように,スパコンの性能が上がる。

(中略)

スパコンは年2回,米調査機関によって実効性能のスピードを競う「トップ500」が発表される (中略) 世界トップ11のうち,4つに後藤のソフトが組み込まれた。いずれも5〜10%,性能を向上させている。

ソフトウェアでハードウェアの性能を極限まで引き出すという話を聞いてピンとくる人はパトレイバーを読んでいる(か劇場版を観ている)と思うが,まあそれはさておき。

もうずいぶん前(10年以上かも)のことだが,「日本人には真のハッカーと呼べる人は居ない」というようなことを何かで読んだ。当時コンピュータ(プログラム)の先端は米国であり,日本人のレベルはそれほど低かった,ということだろう。

現在の日本のレベルがどれほどのものかわからないが,少なくともこの後藤氏は真のハッカーと呼ぶに相応しい人物ではないだろうか。何しろ,性能調査の締め切り間近になると,自分たちのスパコンの性能を上げたい技術者たちが後藤氏に「SOS」メールを送ってくるので,後藤氏は世界約100台のスパコンにアクセスできるIDを持っているのだ。まさにクールである。

まがりなりにも仕事でプログラムを書くこともある立場としては,一生のうち一回くらい,人から「クールだ」と言われるようなコードを書いてみたいものである。