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2006年06月06日

●SF本再読 宇宙消失

「宇宙消失」(G.イーガン)[bk1]を再読。最初読んだときはあまり感じなかったのだが,イーガンの一連の作品を読んだ後に再読すると,本作にも「自分とは何なのか」というテーマが強く現れている。波動関数が収縮する際に,拡散中の自分たちが消滅するという概念は「順列都市」序盤の思考実験にも似ている(ような気がする)。

クライマックスの盛り上がりは個人的には今ひとつ(ブラッドミュージックっぽくないですか?)で,後の作品の方が好みだが,本作の魅力はやはり近未来の目くるめくようなナノテク,特に脳のニューロンを再結線して任意のソフトウェアとして機能させる「モッド」の描写であろう。

最近,新刊/既刊に関わらず新しいSF本を買っていない。いくつかシリーズ物で続編待ちという作品はあるが,買ってまで読みたいと思うSFがなかなか無い。最近第3部が出たニーブンの「リングワールド」シリーズや,超有名な「ハイペリオン」シリーズなど,気になるものがいくつかあるにはあるが,新たなシリーズ物に挑むのはかなりの気合が必要だ。ハードSFに関してはもう,イーガンさえ読んでいれば幸せという感じで,「イーガンよりつまらないだろうことが判っている,未読のSF作品」を読むモチベーションをいかに高めていくか,というのが現在の課題である。