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2007年07月04日

●ミステリ読了 迷宮百年の睡魔

「迷宮百年の睡魔」(森博嗣)読了。

仕事ばかりしていて読書ネタくらいしか書くことがない。「女王の百年密室」を読んだときに,読み切りの長編と書いてしまったが,じつは誤りで,本作が続編となる(じつはシリーズもの?)。

舞台が22世紀ということで,SFミステリと言えるだろう。ロボット(ウォーカロン)の活躍も見逃せない。特に主人公のパートナであるロイディはいい味を出している。

SF全般に共通する点だが,エネルギー問題を解決している未来社会において,変圧器などの送変電機器がどうなっているのかが気になる。発電はまあ,太陽電池なり核融合なりのブレークスルーで事実上無尽蔵に使えるようになったとして,基本的に電力を使うという点は現代と変わらないわけだ。

電力を使うとすれば,当然輸送(送電)と変換(変圧)の必要が出てくるわけで,送電線だとか油の入った巨大な変圧器というような機器は,電磁気学が変わらない以上は必ず必要になると思うのだが,その点を詳しく書いたSFというのは読んだことがない。

作品によっては,各家庭や機械そのものに,超高効率な太陽電池(と何らかの電力貯蔵装置)を内蔵してしまうケースもあるが,今回読んだ作品では「世界のエナジィ問題は解決した」としながらも,ロボットのエナジィは「コンセントにつないで充電」する必要があるとされている。仮に街単位である程度の規模の発電設備があるとしても,各家庭まで電力を引く配電網は必要なわけで,その辺の描写がきちんとされているSFを読んだら,(本筋とは関係ないところで)ちょっと感動するかもしれない。