●ペンタSPメンテナンス
なんとなく動作はするものの,露出もバラバラでたまに写らないコマのあるペンタSP(ASAHI PENTAX SPOTMATIC)のメンテナンスをどうしようか考えていたところ,近所の写真屋が開くカメラフェアで,古いカメラの無料診断・修理見積りをしてくれるという情報をキャッチし,早速持ち込んだ。
Kinoppy氏は「そんなの『このカメラはもうダメです。今ならこちらの新しいデジカメがお安くなってますよ』という商売じゃないの?」と疑っていたようだが,経験上カメラ好きに悪人は居ないのでWebmasterはあまり心配していなかった。
趣味がそのまま商売になってしまったようなカメラ診断士のおじさんは,ペンタSPを一通り調べてまんざらでもない表情だ。曰く「修理は必要ですが,修理すればまだまだ使えますよ」と,横のジャンクカメラの山からニコンの電脳一眼レフを取り出し「こういうタイプはダメです。すぐ故障するし,部品もない。レンズもボディもプラスチックだし。それに比べて(SPは)レンズは総ガラスだし,金属の塊みたいなもんでしょ,部品さえ交換してやればずっと使えるんです」と饒舌である。聞けばご自身でもペンタSPを使っておられたとのことで,これなら修理も信頼できそうだ。
症状としては稼動部の油切れが致命的で,シャッタスピードが規定の値になっておらず,しかも毎回バラバラで,さらにシャッタスピードを上げていくとシャッタが完全に開かない場合もあり,今までの露出の合わない写真や写らないコマはこれで説明がつく。露出計は電池フタが固着して動かず,スイッチを入れてシャッタを切るとミラーアップしたまま戻らない場合もあるとのことで,露出計の修理は見積り時点では不透明だった。あとは古いカメラにありがちなモルトプレーン(裏ブタからの光漏れを防ぐスポンジ)の劣化と,ファインダ,レンズのカビ・汚れなどが挙げられた。
見積りは修理と調整で計¥19,500。「この値段でやってくれるところは無いと思いますよ」とおじさんは話していたが本当だろうか。この辺は相場というのがわからないので判断できない。まあ交換部品+手間賃と考えれば高くはないと思う。
早速修理をお願いして,待つこと3週間。ついに退院してきたペンタSPである。修理明細には,
- モルトプレーン劣化交換
- 巻戻し,巻上げ調整
- シャッタ幕開かず調整
- ファインダー汚れ,カビ修理
- レンズカビ清掃修理
- メーター調整,その他調整
とある。メーター調整ということは,露出計も直ったのであろうか。緊張しながらスイッチを入れると,見事!ファインダー内の露出計の針が元気良く振れる。これはうれしい。勘に頼って露出を決めるのも楽しいものだが,普通に写真を撮るならやっぱり露出計は欲しいところだ。合わせて固着して動かなかったASA/DINのフィルム感度設定ダイヤルも修理されていた。ファインダーもレンズもピカピカで,視界がクリアになって気分がいい。早く試し撮りしてみなくては。
料金は見積りどおりで,見てもらったときは「見積りは最低限の金額で,バラしてみないと正確な値段はわかりません。もう少し上乗せが必要かも」と話していたが,良心的であった。カメラフェアは年に何度かやっているらしいので,次は実家に置いてあるCanon FPも見てもらおうかと思っている。