●SF本読了 天の向こう側
「天の向こう側」(A.C.クラーク)読了。
1984年に刊行された邦訳の新装版。収録されているのは1947〜1958年に書かれた短編。
やはり「そのSFが想定した未来」よりも,さらに未来の時点でこれを読むというのが贅沢というか,なんとも言えない味わいがある。
収録作の「月に賭ける」は人類最初の月面探査の話だが,もちろんアポロ11号の月着陸(1969年)よりも10年以上前の1956年に書かれている。実際のNASAの仕事や現在の宇宙開発の状況と比べて読むことができるわけで,とても楽しい。
例えば現代の最先端SF作家(例えばイーガンとか)の作品を,50年後,100年後に未来の技術と比較しながら読んだとしたらどう感じるだろうか,そんなことを考えてしまう。
【収録作品と原題】
・90億の神の御名(The Nine Billion Name of God)
・密航者(Refugee)
・天の向こう側(The Other Side of the Sky)
・暗黒の壁(The Wall of Darkness)
・機密漏洩(Security Check)
・その次の朝はなかった(No Morning After)
・月に賭ける(Venture to the Moon)
・宣伝キャンペーン(Publicity Campaign)
・この世のすべての時間(All Time in the World)
・宇宙のカサノヴァ(Cosmic Casanova)
・星(The Star)
・太陽の中から(Out of the Sun)
・諸行無常(Transience)
・遥かなる地球の歌(The Songs of Distant Earth)