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2008年05月29日

●宇宙までは何マイル?

宇宙モノのSFを読んでいると,長い距離の単位がいろいろ出てくるので,少しまとめておこう。

■天文単位[Astronomical Unit; AU]
 地球から太陽までの平均距離のこと。地球の公転半径と言ってもいい。1[AU] = 149,597,870[km](1億5千万キロメートル。ちなみに地球から月までの距離は38万キロメートル)

■光年[light year; ly]
 光が1年間かけて進む距離。1[ly] = 63,241[AU] = 9,460,730,000,000[km](9兆5千億キロメートル)

■パーセク[PARallax SECond; pc]
 地球から年周視差1秒角となる距離。地球は公転しているので,軌道の両端では恒星の見かけ上の位置がわずかに変わる(年周視差)。この視差(の半分)が1秒角(=1/3600°)になる恒星までの距離。1[pc] = 3.26[ly] = 206,265[AU] = 30,856,800,000,000[km](31兆キロメートル)。ちなみにtan(1") = 1[AU]/1[pc]の関係となる。

地球からいちばん近い恒星(プロキシマ・ケンタウリ)までは1.3パーセク(40兆キロメートル)。銀河系の直径は3万パーセク(900京キロメートル)。この途方もない距離を舞台に物語を書こうとすると,どうしても千年,万年単位の時間をかけるか,あるいは何らかの超光速航法を考えだす必要がある。

もしも銀河間空間を股にかけて活躍するような話を書こうとしたら,パーセクでも値が大きくなりすぎるので,新しい単位を発明する必要があるかもしれない。銀河系の直径を基線に使った年周視差1分角=Gparmin(ジーパーミン)なんてどうだろう。1[Gparmin] = 1.7億光年。

とまあ,長い距離の方はだいたい想像できたと思うが,アメリカ人のSFで何が困るって,マイルとかフィートである。感覚的には3パーセクと3マイルは同じくらい想像が困難だし,身長6フィートのロボットは大きいのか小さいのかとっさに判断できない。