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2005年08月30日

●ノンフィクション読了 スペースシャトルの落日

「スペースシャトルの落日 失われた24年間の真実」(松浦晋也)読了。久しぶりのノンフィクション。ハードカバーは置き場所がないので図書館からレンタルである。

Webmasterはアポロ後に生まれたので,宇宙船といえばスペースシャトルという世代だ。子供の頃は学研ひみつシリーズの「スペースシャトルのひみつ」を読んで「なんて素晴らしい技術なんだろう!これで将来は誰でも宇宙に行ける時代になる!」と感動したものだが,その後の停滞は周知の通りである。本書はスペースシャトルを,世界の宇宙開発関連の貴重な時間と金を浪費させただけの大失敗作だと断じている。この話はそれ系のWebなどでは有名で,大人になったWebmasterも先日のディスカバリー号飛行再開のニュースを複雑な心境で見ていた。野口宇宙飛行士は9年辛抱してようやく宇宙に行くことが出来た。しかしスペースシャトルの高コストと低信頼性のおかげで,いつになったら宇宙に行けるのかわからない宇宙飛行士が日本にも世界にも大勢いるのである。

滑空して飛行場に着陸する姿は確かにカッコいいかもしれない。しかし現実にはパラシュートで海に降りるソユーズの方が,不恰好かもしれないが信頼性が高く安い。宇宙往還機という概念は魅力的だが,地球の重力と,水素-酸素系エンジンの効率,人類が生み出せる材料の強度という限界が克服できない限り,大変な非効率となるというお話。

アポロの後の開発が純粋に技術的な観点で進められていれば,今頃は有人月面基地くらい出来ていたかもしれないと思うと残念でならない。

スペースシャトルの落日 失われた24年間の真実(松浦晋也)