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2009年01月25日

●SF本読了 虚構機関

「虚構機関—年刊日本SF傑作選」(大森望,日下三蔵[編])読了。

2007年に発表された短編SFから,選りすぐりのものを収録したベスト集成的な本。言われてみればこの手のアンソロジーってありそうでなかった。以前読んだ筒井康隆編のベスト集成以来だとか。

特に注目していた作品があったわけではなく,普段読まない著者の作品とか,いろんなサブジャンルのSFを読むことで視野を広げていきたいと思って買った。新しく好みの著者なりジャンルが見つけられたらラッキーである。

全体的にはまずまず楽しめたけれど,「この著者のほかの作品もぜひ読みたい」と思うようなことはなかった。その時代の旬の作家が書いているので,もし毎年出るならレファレンスとして読んでおくのもいいだろう。先日も書いたことだが「自分の立ち位置を知る」というのも社会では必要なことだ。

個別の作品でまあまあ面白いと感じたのは,「靄の中」「開封」「うつろなテレポーター」「自己相似荘」「大使の孤独」あたり。しかしテッド・チャンみたいな話を書く(書ける)日本人はいないのかなぁ。

【収録作品】

  • グラスハートが割れないように(小川一水)
  • 七パーセントのテンムー(山本弘)
  • 羊山羊(田中哲弥)
  • 靄の中(北國浩二)
  • パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語(円城塔)
  • 声に出して詠みたい名前(中原昌也)
  • ダース考 着ぐるみフォビア(岸本佐知子)
  • 忠告(恩田陸)
  • 開封(堀晃)
  • それは確かです(かんべむさし)
  • バースディ・ケーキ(萩尾望都)
  • いくさ 公転 星座から見た地球(福永信)
  • うつろなテレポーター(八杉将司)
  • 自己相似荘(平谷美樹)
  • 大使の孤独(林譲治)
  • The Indifference Engine(伊藤計劃)