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2009年10月20日

●入浴剤のナゾ

粉を押し固めたような質感で,お湯に入れると溶けながらブクブクと泡を出す入浴剤があるのはご存知だろうか。花王のバブなどは有名だと思う。

テレビCMを見ていると,どうやらあの泡は炭酸ガス(CO2)で,炭酸ガスが溶けたお湯に浸かると疲れがとれるらしい。

ふーん,そうか。あれは炭酸ガスを固形化したものなのか。

と,考えて何か不思議に思わないだろうか。炭酸ガスを固形化したものがほかにもなかったっけ?そう,ドライアイスである。

ドライアイスといえばスーパーでアイスを買うともらえるけれど,その性質(液体を経由せずに気体になる「昇華」)を利用して,「溶けても濡れない保冷剤」として便利に使われている。が,これはバブとはぜんぜん違うものだ。ドライアイスをお風呂に投入すればすごい勢いで炭酸ガスの泡は出るだろうが,お湯が冷めるし,そもそも常温で袋に入れて保存しておくことなんてできない。

入浴剤はドライアイスではないということはすぐにわかると思うが,では入浴剤はどうやって炭酸ガスを固形化し,常温の状態で閉じ込めているのだろう。

その秘密は化学反応にある。バブは炭酸ガスを直接固形化しているわけではなくて,バブを構成している化合物が水に溶け,化学反応によって炭酸ガスが発生しているのだ。

具体的には有機酸の一種であるフマル酸(C4H4O4)と,重そう(炭酸水素ナトリウムNaHCO3)というのがバブには含まれていて,これらが水に溶けて反応すると,炭酸ガスが発生するわけだ。(C4H4O4 + NaHCO3 = C4H3NaO4 + H2O + CO2)

炭酸ガスと一緒に発生するのは水と酸味料などにも使われるフマル酸ナトリウムだそうだ。

バブの化学式
(出典:花王製品FAQ:http://www.kao.com/jp/qa/bub_all_02.html)

普段何気なく使っている入浴剤も,考えてみると不思議なものである。