●今日の工作 フルレンジスピーカーユニット
大人の科学マガジンで作った棒テンプ式機械時計がなかなか楽しかったので気を良くして,特別編集 まるごと手作りスピーカーの本も買ってしまった。
普通スピーカーの自作というと,ユニットは市販品を買ってきてエンクロージャを手作りすることを指すが,この付録ではユニットそのものの組み立てを体験できる。ユニットの仕組みを学びながらスピーカーを作ることにより,普段聴いているオーディオの音もまた一味違って聴こえる(かもしれない)。
付録のユニットはFOSTEX製7cmフルレンジ。小口径だが磁気回路は重量感があり(74グラム),なかなか本格的だ。磁気回路にはGakkenのロゴがある。
磁気回路にフレームを取り付けたところ。中央にボイスコイルが入るギャップがある。接着剤がハミ出ていて恥ずかしい。
ボイスコイルとダンパーは一体になっている。ギャップゲージ使ってボイスコイルを磁気回路に挿入し,ダンパーの周囲とフレームを接着する。
コーン紙を取り付けて,周辺をフレームに,中央をボイスコイルにそれぞれ接着する。ボンドが乾いたらギャップゲージを取り除く。このようにユニット製作の各過程においてボンドによる接着が必要で,接着が不充分だと音のビビリが発生したりするらしい。なんというか,工業製品なのに伝統工芸のような感覚である。一台一台微妙に特性が異なるというのも実にアナログだ。
最後にキャップを接着して完成。長年このコーン型スピーカーのキャップがどのような役割を果たすのか疑問を抱いていたが,ボイスコイルとコーンの接着を補助し,磁気回路内にホコリなど異物が入るのを防ぐのが主要な機能という理解でいいのだろうか。詳しい方がおられたらご教示いただければと思う。
付録の入っていたダンボール箱はそのまま簡易的な密閉型エンクロージャになる。1時間ほど接着剤が乾くのを待ってから取り付けて早速試聴だ。アンプにはPLS-1510を使い,スピーカ出力の片系を自作ユニットにつなぐ。仮にユニットがちゃんと出来ていてもヘニャヘニャのダンボール箱エンクロージャで果たしてまともな音が出るのか不安だったが,意外にもちゃんと聴ける音が鳴るではないか。触るとエンクロージャごと盛大に震えているが,小口径ユニットらしく解像度の高い疲れない音だと思う。自作派が小口径ユニットにバックロードホーンを組み合わせる気持ちが解る気がした。
小音量で聴く分には125に劣らず心地いい(もちろん自分で作ったという満足感もあって)ので,しばらくこのままエイジングしていこうと思う。またヒマがあったらキチンとしたエンクロージャの自作にもチャレンジしたいと思うWebmasterであった。
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