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2006年01月08日

●ミステリ読了 笑わない数学者

 笑わない数学者(森博嗣)読了。S&Mシリーズ第3弾。トリックは早い段階で見破れたので,Webmasterもだいぶミステリに慣れてきたかな,とちょっと得意になって他の書評を読んでみたら,この話は特別トリックが簡単だったらしい。

 現実世界では,特殊な建物のトリックや密室殺人ではない,ただのコンビニ強盗や車上荒らし,そして子供が巻き込まれる犯罪などでも,犯人がなかなか捕まらない,あるいは完全に迷宮入りになる事件が多々ある。正直に生きている人間,ましてやそれらの犯罪の被害者にとってはまったくやりきれない話で,それこそ「神様はちゃんと見ておられて,悪いことをした人はたとえこの世で捕まらなくても,死んだら地獄で苦しむのだ」とでも信じないことには到底気持ちが収まらないだろう。

 神様が罰を与えてくれると本気で信じているのなら,何も捕まえて人間が罰を与える必要はないわけで,結局は捕まえられなかったことに対する「逃げの思考」でしかない。まったく不条理な世の中だ。

笑わない数学者(森博嗣)