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2006年04月17日

●SF本読了 象られた力

象られた力(飛浩隆)[bk1]読了。SFが読みたい! 2005年版国内編で1位となった中短編集。

この著者の作品は初めて読んだが ,初読の日本人作家で中短編集という点で共通する「老ヴォールの惑星」(小川一水)と比べるとちょっとインパクトが弱かった気がする。どの作品もなかなか面白いのだが,読後の感動は薄かった。あくまでも個人的感想であって,冒頭の短編「デュオ」などはSFとしては異色の音楽(ピアノ)モノだったりして,ハマる人はハマるかもしれない。「グラン・ヴァカンス」という長編も出ている(文庫化はまだ)らしく,電脳空間/AIモノらしいのでWebmasterの好みにはそちらの方が合いそうなので文庫化を楽しみにしている。

収録作品のテーマがわりと広いジャンルにまたがっていて全体の感想が書きにくいので個別に少し。

・デュオ
上述のように音楽モノ。ミステリ的な楽しみもある。

・呪界のほとり
クラークの第3法則「充分に発達した科学技術は,魔法と見分けが付かない」の究極の姿。こういう設定はキライではない。

・夜と泥の
地球化(テラフォーミング)組織「リットン&ステインズビー協会」が出てくる,表題作と共通の世界観。

・象られた力
図形のもつ力と物理宇宙のインフラストラクチャへのアクセス系の話。ジャンル的には神林長平に近いかもしれない(偏見)。この表題作が一番ボリュームがあり読み応えもある。