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2009年01月05日

●付属レンズのマクロ性能

EOS Kiss X2レンズキットの付属レンズはEF-S18-55mm f3.5-5.6 ISという標準域ズームで,35mm換算29-88mm相当になる。

使った人はわかると思うが,広角側はできれば15mm(24mm相当)までは欲しくなるし,望遠側はいまどきコンパクトデジカメだって5倍10倍ズームは当たり前なのに,55mmではたかだか3倍である。手ぶれ補正は付いているけれど,元が暗い(開放f値が大きい)し,この焦点距離だったら手ぶれ補正なしでも慣れた人なら1/15sくらいまで手持ちで撮れるので,それほどありがたくない。

ボディ単体とレンズキットの価格差が4,000円くらいだったので,実質4千円の「おまけレンズ」ならまあこんなもんかな,とあまり使う気もなかったのだが,ひとつ驚いたことがある。最短撮影距離(撮影倍率)だ。

なんとこのレンズ,安物のくせにズーム全域で25cmまで寄れる。最大撮影倍率は0.34倍だ。コンパクトデジカメに慣れている人ならマクロ機能でこの程度の性能は珍しくもないが,マクロレンズでもない普通の交換レンズでこの性能はちょっと驚異的ではないか?(大げさ?)。EFレンズのカタログを見ても,マクロ以外のレンズでは最短撮影距離45cm,最大撮影倍率0.15倍というのがほとんど。手元の50mmF1.4も24-85mmF3.5-4.5も同じである。

ちなみに撮影倍率というのは,被写体が画像センサ(フィルム)上に写るサイズを表していて,よく使われる例えとしては,100円玉(画像センサとほぼ同じ大きさ)を画面いっぱいに写すことができれば,撮影倍率は1倍(等倍)である。0.34倍だと,少し100円玉が小さくなって,画面に3個並ぶところまでしか拡大できず,0.15倍だと画面に約7個並ぶ程度の大きさまでしか拡大できないということだ。

撮影倍率

猫写真を撮っていると,かわいい各パーツ(鼻とか肉球とか)のアップを撮りたくなるものだが,そんなとき最大撮影倍率0.15倍と0.34倍の差はかなり大きい。マクロ性能だけでも,このおまけレンズを使う価値がある。写真は左が最大倍率0.15倍の50mmでめいっぱい寄った場合,右が同じく0.34倍の付属レンズでめいっぱい寄った場合。

ピートピートの肉球

付属レンズでもマクロ性能をそこそこ持たせることで,コンパクトデジカメから乗り換えて初めて一眼レフを触る層にも違和感がないように,というキヤノンの配慮なのだろうか。

何も知らずにコンパクトから乗り換えた人が,実際使ってみたら,マクロは寄れない,ズーム倍率は小さい,動画も撮れない,コンパクトデジカメではマクロも望遠も動画も全部一台でOKだったのに,一眼ではいちいち交換レンズを買わなくてはいけない。しかもどうかするとカメラ本体より交換レンズ1本の方が高い。「一眼レフなんてデカくて重くて高いだけで何も良いところがない」となる可能性は確かにあると思う。世のおとーさんたちは奥様にどう説明しているのだろう?

「いや,ボケがね」
「ボケてんのはあんたの頭でしょ」

みたいな...

ピート