●アコギ用パッシブピックアップの音を比較する(NEO-D HUM,iBEAM passive)
YAMAHA FG730Sにピックアップ(iBEAM passive)を取付けたので,早速音を出してみよう。
まず気になったのが,「ジー」というノイズ。アンプのゲインを上げると,無音時にもけっこう気になる音量で鳴る。
エンドピンジャックの金属部分に手を触れるとピタっとノイズは消えるので,アース関係なんだろうということはわかるが,では具体的にどう対策するかとなると,なかなか難しい。検索しても決定打というか「これでOK」という対策は出てこない。このあたりもアコギ用ピックアップがまだまだ発展途上だということを表している。
それはともかく,早速ライン録りした音を比較してみよう。
ピックアップの評価をしているサイトでは,間にプリアンプが入っていたりエフェクタで音を「作って」いたりして,本来のピックアップの特性がわかりづらい。ここでは「ピックアップの音そのもの」に近い音で聞いていただくために,ピックアップから直接ギターアンプにつないで,トレモロやリバーブはすべてOFFとした。まあ正直に言うとエフェクタを買うお金がないだけだが。
録音は30秒ほどの短いフレーズを,NEO-Dハム,iBEAMパッシブ,マイク録りと順番に収録してある。
■録音条件
ギター:YAMAHA FG730S 弦はダダリオのブロンズ(ライトゲージ),張り替え後2週間。
1番目:ピックアップはFISHMAN NEO-D HUMBUCKING
2番目:ピックアップはL.R.Baggs iBEAM passive
アンプ:1番目,2番目のアンプはVOX Pathfinder15R,トレモロ,リバーブはOFF(写真)。
3番目(比較用のマイク録音):ZOOM Q3で生音を録ったもの。
どうだろう。けっこう違うのがわかると思う。逆にまったく異なる物理法則(電磁誘導と圧電効果)に基づく2つのピックアップで,どちらも似たような信号が取り出せるものだ,と思う方もおられるだろう。
少なくともこのフレーズで聞く限りは,NEO-Dの方が自然という気がするがいかがだろうか。iBEAMの方はノイズも気になる。そして,ZOOM Q3で録った音がやっぱり一番自然という,当たり前の結果となった。
ただ,iBEAMの音はアンプからそのまま音を出した場合にはもっと自然に聴こえるので,単純に信号がどうこうという評価はあまり意味がないのかもしれない。実際にお客さんの前で音を出すときにはエフェクタで音もいじるだろうし,この辺はこだわりだすと確かにキリがないという気はする。
しかし忘れてはいけないのは,私はあくまでもプレイヤであってステージの音を作るエンジニアではないということ。発表会で使えるピックアップは準備できたわけだし,あとは演奏の練習に専念したい。