« 2011年08月 | メイン | 2011年10月 »

2011年09月21日

●SF本読了 結晶銀河

「結晶銀河 ー年刊日本SF傑作選ー」(大森望・日下三蔵 編)読了。

この年刊傑作選も4冊目。最近日本SFはアンソロジーばかり元気でちょっと辟易しているのだが,注目している作家の新刊がなかなか出ずに読むものもないので買ってみた。

何度か書いていることだけれど,ある程度長くSFを読んでいると,アンソロジーを読んで「すごい,こんな作家がいたのか!」という発見はほとんどない。未読の作家さんは単に好みじゃなくて読んでいないか,新人ということだ。

なので今回もそのことを確認しただけにとどまった。元々好きで文庫の新刊が出れば買っている小川一水(アリスマ王の愛した魔物),山本弘(アリスへの決別)が一番好みに合って,他の作品はまあそれなり。アリス~は短編集で既読だったので,ほとんどアリスマ王~のために買ったようなものだ。

たぶん一般の評価が高いのは長谷さんのallo,toi,toiだと思うけれど,「あなたのための物語」と同様,ちょっとヘヴィすぎて楽しめなかった。

初読の作家さんの作品の中からあえて面白かったものを選ぶとしたら「ゼロ年代の臨界点」かなぁ。ただこれはこういう企画の中で面白いという話で,この人の書く小説を今後も読んでみたいと思わせるほどのものではなかった。

あと,別のアンソロジーのNOVAからの収録(五色の船)があったけれど,読者層の重なるアンソロジー間で融通するのってなんか水増しっぽい感じを受けた。NOVAは書き下ろし,こちらは年刊傑作選だから...という理屈だと思うんだけど,それならNOVAの方は読む必要は感じない。どうせ面白い話は年刊傑作選にも収録されるんでしょ?という意味で。実際NOVAは収録作のばらつきが大き過ぎて,2以降は買ってない。

とはいえ,今後もSF界の定点観測という意味で貴重な企画なので,続いてほしいと思っている。

【収録作品】
冲方 丁「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」
小川一水「アリスマ王の愛した魔物」
上田早夕里「完全なる脳髄」
津原泰水「五色の舟」
白井弓子「成人式」
月村了衛「機龍警察 火宅」
瀬名秀明「光の栞」
円城 塔「エデン逆行」
伴名 練「ゼロ年代の臨界点」
谷 甲州「メデューサ複合体」
山本 弘「アリスへの決別」
長谷敏司「allo, toi, toi」
眉村 卓「じきに、こけるよ」
酉島伝法「皆勤の徒」(第2回創元SF短編賞受賞作)


2011年09月19日

●プラネタリウム番組鑑賞 スターリーテイルズ

大型ドーム映像番組の「スターリーテイルズ」を鑑賞。

以前「銀河鉄道の夜」という番組をやっていてとても良かったのだが,その同じスタッフ(KAGAYA studio)の作品だそうだ。

特に予備知識なく観たのだが,大変素晴らしかった。視野全体に広がる大迫力の映像と音楽。銀河鉄道の夜のときにも書いたけれど,メガネをかけて見る3D映画なんてこれに比べたら紙芝居みたいなものだと思う。

日立シビックセンターのプラネタリウムは震災の影響でオープンが半年ほど遅れたが,設備を20年ぶりにリニューアルして,メガスターIIAとデジタル投影システムを備えた最新型(プレアデスシステム)になった。スターリーテイルズの4K非圧縮高解像度版をフルスペックで上映しているのは,東京の「満天」(上映終了)と,福岡県青少年科学館と,日立シビックセンター天球劇場の3館だけである。(2007年の銀河鉄道の夜公開当時には,4K(4000×4000ピクセル)のデータを活かせるプラネタリウムはまだ日本になかった)

ぜひ上映中に何度か見ておきたい。これで510円は本当にお得だと思う。

参考:スターリーテイルズ公式サイト

2011年09月10日

●資格取得 3級アマチュア無線技士

かんなさんに誘われて,アマチュア無線の資格試験を受けることになった。第3級アマチュア無線技士(3アマ)というやつだ。

そういえばパジェロに乗っていた頃,仲間の通信を受信する目的で買った0.5Wのトランシーバーがあるけれど,電波を出したことはなかった。それならこの機会に資格を取って,堂々と電波を出せるようにしよう。携帯電話などのインフラがダウンした場合のバックアップにもなるかもしれない。

3アマだと講習を受けて取る方法もあるらしいが,お金もかかるので,国家試験の一発合格を狙う。

ネットで調べると試験は過去問がほとんどそのまま出るそうなので,解説付きの過去問集「第3級ハム国試要点マスター〈2011〉」をかんなさんと自分の分の2冊購入。


分野は法規と無線工学で,法規やモールスは覚えるしかないが,工学の方はオームの法則とかトランジスタとか,中学校の理科と技術家庭科レベルの知識があれば何も勉強しなくても半分以上は取れると思った。さすがに電波伝搬だとかアンテナだとかに関しては勉強する必要がある。

かんなさんは工学の勉強でかなり苦戦して,確かにオームの法則だとかコイルやコンデンサ,ダイオードやトランジスタがどういったものなのか,ぜんぜんイメージできない場合は大変かもしれない。

あと,電卓や計算尺(!)は持込禁止なので,計算問題はすべて手計算で解かなくてはいけない。最近はすっかり電卓やパソコンに頼っているので,個人的にはこれが一番きつかった。ただこれも,過去問をとにかく丸覚えする方法でクリアする手もある。

試験の申込書もAmazonで購入したが,これは問題集によっては付属していたり,近くにハムのショップがあれば売っているだろう。

茨城には試験会場はなくて,東京の日本無線協会の試験センター(晴海)まで受けに行った。午前中の試験だったので念のために試験会場から徒歩3分のホテルに前泊した。

試験は11時からで,4アマと3アマが同じ部屋。3アマ受験者は受験番号で数えたら25名だったが,時間までに来たのは18名,女性はかんなさん一人だった。平日だったので少なかったのかもしれない。4アマの方は30名ほどで,女性は3名。アマチュア無線資格保持者の90%は4アマなのだそうだ。

試験時間は法規と工学合わせて70分。開始後30分で途中退席できる。

勉強の甲斐あって,15分ほどで見直しも含めて終わってしまった。半分くらいの人数が30分で途中退席していたと思う。

試験終了後,1時間ほどで合格者の受験番号が貼り出される。その間にかんなさんと自己採点してみたが,二人とも満点だった。この程度の試験にちょっと真面目に勉強し過ぎたかも。

事前の情報通り,過去問と一字一句同じ問題がほとんどで,選択肢の順番だけは変えてあった。唯一,コンデンサのリアクタンスを求める問題だけ,数字が少し変えられていた。この問題が解くのに一番時間がかかった。計算式はXc=1/2πfC=1/(2*3.14*50*160*10^-6)(Ω)である。

3アマ問題例

3アマの合格者は18名中12名。全体の統計では棄権者を除いた合格率は70%以上だったと思うので,国家試験の中ではかなり簡単な方だと思う。

合格者はその場で無線従事者免許証(従免)の申請ができるので,顔写真(受験票に貼るのと同じ大きさ)1枚と,運転免許証などのコピーを持参すると手続きがスムーズだ。自分たちは顔写真は持っていたが,免許証の写しがなかったので,隣のコンビニでコピーした。

3アマ合格発表

これで1ヶ月後には免許が届くらしいのだが,それだけでは電波を出すことはできない。従事者免許到着後に,無線機の免許状(局免)というのを取らないといけないらしい。運転免許と車があっても,車検を通してなければ運転できないのと同じで,従免と局免が揃って初めて電波を出すことができるのだそうだ。この辺のルールは勉強するまでまったく知らなかった。

局免申請ついては,従事者免許が届いたら挑戦してみたい。