カメラ関係の買物はマウントアダプターだとかおもちゃ二眼レフだとか,安物ばかり続いている。高い器材を使ってみたいという欲求も昔はあったけれど,安物の器材でフォトコンを受賞したりして,結局は被写体と腕だなと悟ってからはほとんどカメラに物欲を刺激されることもなくなった。
それでもマクロレンズは気になっていた。接写ばかりは腕でカバーというわけにもいかず,どうしても器材が必要となる。
しかしマクロレンズは高い。というか交換レンズは全般的に高い。なんとか一眼レフカメラは買ったものの,レンズが買えずにキットレンズだけで頑張っている方も多いのではないだろうか。
幸い私は独身時代に無理して買ったEF50mmf1.4USMという資産があるので単焦点も楽しむことができるが,このレンズは最短撮影距離45cmで最大撮影倍率は0.15倍と全然寄れない。
そこで気軽に接写が楽しめるクローズアップレンズはどうだろうと考えた。実はクローズアップレンズを着けたときの撮影倍率だとか詳しいことはよく知らなかった。それでもまあ,値段が安いので勉強も兼ねて買ってみることにした。
買ったのはキヤノンのClose-up Lens 250Dというもので,径は58mm。偶然だがEOS Kiss X2のキットレンズEF-S 18-55mmも,EF50mmf1.4もフィルタ径は58mmなのでどちらにも着けることができる。
まず,クローズアップレンズ250Dを装着した状態だと,被写体からレンズの距離がだいたい250mm以上離れるとピントが合わなくなる。つまり無限遠にしたときにピントが合うのが250mmということで,もちろんこれを着けたまま常用はできない。接写するとき専用ということ。
とりあえずベランダのフウセンカズラの花(直径5mmくらい)で試し撮りしてみたものを載せておく。撮影倍率などの用語については以前書いた記事を参照頂きたい。写真はすべてFlickrへのリンクで,リンク先でオリジナルサイズで見ることができる。
【EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS クローズアップレンズなし】
デジタルEOS専用のEF-Sレンズは,単体でもかなり接写性能が高く,25cm程度まで寄れる。最大撮影倍率は55mm端で0.34倍。
【EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS クローズアップレンズ 250D装着】
クローズアップレンズを装着すると,10cmくらいまで寄れるようになって,撮影倍率は0.45倍。元々が0.34倍なので,それほど劇的な効果ではないように感じられる。
【EF50mm F1.4 USM クローズアップレンズなし】
この単焦点レンズは最短撮影距離45cmで,最大撮影倍率は0.15倍なのでほとんど接写が効かない。
【EF50mm F1.4 USM クローズアップレンズ 250D装着 f=4.5】
これにクローズアップレンズを着けるとけっこう接写が効くようになって,最大撮影倍率は0.35倍まで。
クローズアップレンズを使うと,被写界深度がかなり浅くなるので,ピント合わせは結構難しい。AFは一応使えるが,取説にはピントは固定してカメラを前後させて合わせろと書いてある。参考までに,絞りを変えたときの写りもご紹介。f=1.4開放だとソフトフォーカスレンズみたいな描写になる。
【f=1.4開放】
【f=2.8】
【f=8】
という具合で,感想としては値段の割になかなか使えて面白いというところ。最近そういう人は少ないだろうけれど,最短撮影距離の長いEFレンズしか持っていない場合には,簡易マクロとして充分使えるのではないだろうか。これ以上の例えば等倍まで欲しいという場合は,マクロレンズを買うしかない。