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First-Class Radio Operator for General Services

第一級総合無線通信士 受験記


JH1CFVソウヘイさんから見た1総通受験記
ソウヘイさんの絵とピート

3年間に及ぶ一総通へのチャレンジお疲れ様でした。
そして合格おめでとうございます。

私自身は受験経験がありませんが、総通(総合通信士)というのは数ある国家試験の中でも飛び抜けて特殊と言っていいと思います。

合格率だけを見れば5%前後ですが、そもそも受験者数が毎回100人程度で、合格者が5人前後と極めて少ないです。
決して不人気な資格ということではなく、かんなさんが既に所持している「一陸技」と合わせ、一総通も持っている人は「一通一技」と讃えられる無線従事者憧れの資格です。

それにもかかわらず毎回数名しか合格しません。
みんな欲しいのに取れないのです、ホントに。

その特殊性を決定的にしているのが「通信術」という実技科目です。 正直、通信術以外の科目は資格試験が得意な人なら問題なく合格できるでしょう。 通信術、特にモールス電信の受信科目だけはそうはいきません。

もちろん暗記は必要です。欧文と和文のモールス符号を完璧に覚えなくてはいけません。 しかし、通信術の勉強は「完璧に覚える」ところがゴールではなく、スタートラインなのです。 むしろウォーミングアップ程度かもしれません。

例えが適切かわかりませんが、スポーツをやったことのない人が野球のルールを完璧に覚えたとして、 それでプロ野球選手になれるでしょうか。 アマチュア無線で普段からCWで交信している人は趣味で草野球をしている感じです。 まったくの素人よりはマシですが、プロ野球選手への道は遠いです。 まあそういうことです。

かんなさんはまったくの素人のレベルからの一総通受験スタートだったわけで、合格、特に通信術攻略への道は困難を極めました。
まず教材がありません。
年間数千人とか数万人が受験する資格なら、いくらでも教材が販売されていますし、ネット上の情報も豊富です。
しかし一総通の場合、そもそも受験しようという人がせいぜい数百人しかおらず教材も商売になりません。
合格者が年間10名ほどしかいないのでネット上の受験記(合格体験記)などもほとんどありません。
一総通に挑戦中というブログ記事などは見つかりますが、途中で更新が止まって挫折しているものが多く参考になりません。
普通の資格試験のつもりで勉強を始めたものの、あまりにも異質な通信術で皆どうしようもなくなっていると思います。
数少ない合格体験記は元々アマチュアでCWの交信はできている場合などで、これも参考にならず。

情報通信振興会のCD教材が唯一の一般販売されている音源です。
一総通用はCD1枚で約58分、その中に和文、欧文暗語、欧文普通語が収録されているので、単純にそれぞれ各20分程度です。
電報文の長さや形式も本番とは微妙に異なるようです。
もちろんこの音源を書き取れることは最低条件ですが、そこまで練習したらほとんど内容を覚えてしまうでしょう。
どうしても初見(初聴)の問題で練習したくなります。
しかしここから先の練習方法のセオリーがないわけです。

私はかんなさんの挑戦を横で見ながら、モールス符号を覚えるためのScratchゲームを作ったりしていました。
せっかくなのでかんなさんの役に立つスクリプトが書けないものか、と構想を練り始めたのです。
多くの受験者が練習に使うのがA1A Breakerというソフトです。
このソフトはモールス受信の練習用に素晴らしい汎用性を備えていて、やりたいことはたいてい可能にできています。

一方でその汎用性の高さのために、一総通の受信練習の音源を作るにはカスタマイズや電報文を準備する手間が必要です。
さらにWindows専用ソフトなので、パソコンがない場所では使えません。
録音しておけば良いですが、もちろんその手間が必要です。

そこで、一総通の額表(電報文)に特化した音源を無限に生成するスクリプトを開発しました。
とにかく、受験者の手間は最小限とすることとし、和文、欧文暗語、欧文普通語を選択して開始ボタンを押せば、試験と同形式の電報文が流れるようにしました。
毎日1時間分、新しい問題に更新されます。

最低限の機能のバージョンをかんなさんに使い始めてもらったのが2019年9月の試験後からです。
かんなさんはここまでに2回、通信術科目で完膚なきまでに叩きのめされたところでした。
以降は日替わり通信術のアプリを使って毎日練習を重ねたわけですが、それでもさらに2回は不合格、3回目に合格を勝ち取ることができました。
結局練習用の音源があったとしても、それを書き取れるようにひたすら練習するという努力は必要です。

かんなさんはこのアプリのおかげで合格できたとおっしゃってくれますが、それは違います。
合格できたのは本人の継続的な努力があればこそです。
初学者の方はアプリの音源を聴いて愕然とするでしょう。 こんなのをホントに書き取るのか、と。 でも信じてください。 アプリでノーミスで書き取れる実力が付けば合格が狙えることはかんなさんが証明済みなのです。

それにしてもかんなさんが無事合格できてホッとしました。 アプリの有効性が気になるというのもありますが、何より毎日恐ろしい文字数の書き取りをこなし、 腱鞘炎になるんじゃないかと心配でしたし、永久に合格できなかったらどうしよう、と本人じゃなくとも不安になりました。 何しろ1回の試験で合格者は全国で数名ですから。ホントに良かったです。

2021年4月 JH1CFV ソウヘイ


ソウヘイさんには工学の勉強を教えてもらったり,アプリを作ってもらったり,沢山助けてもらいました。
また,毎回試験後に帰宅するとソウヘイさんの可愛い絵が迎えてくれました。
いつもありがとうございます。かんな

2018年3月の絵

ソウヘイさんの絵

2018年9月の絵

ソウヘイさんの絵

2019年9月の絵

ソウヘイさんの絵

2020年3月の絵

ソウヘイさんの絵

2020年9月の絵

ソウヘイさんの絵

2021年3月の絵

ソウヘイさんの絵

いつも可愛い絵をありがとう!