インフルエンザで家にこもっている。体調はあまり良くないが,一日中寝ているわけにもいかず,起きている間は退屈だ。そうだ,こんなときは気になっていたマウントアダプタを試してみよう。
ということで,楽天のジャパンバッテリーの通販でEOS-M42マウントアダプタを購入。電子接点がないタイプなので2,000円と安い(下のアマゾンのリンクはハンザのもので,ちょっと高い)。精度がどうとか,気になる人もいると思うが,ちょっと試すならこんなのでも充分ではないだろうか。金曜の14時頃に発注して,翌日土曜の夕方にはポストに入っていた。
モノは写真のような金属のワッカがひとつ。これでねじ込み式のM42マウントを,EOS用のEFマウントに変換することができる。
ペンタSPに着いていたSuper Takumar 1:1.8/55に,マウントアダプタを取り付けたところ。
普段EOS Kiss X2に着けて使っているEF50mm f1.4 USMと並べたところ。タクマーがずいぶん小さいけれど,金属の高密度感があってズシっと重い。下に付いているのは保護カバー。
EOS Kiss X2に装着したところ。ちょっとアンバランスな感じ。
さて撮影方法だが,このレンズの場合は自動絞り(オート)と手動絞り(マニュアル)の切り替えができる。絞りリングよりカメラ側にある自動絞り解除レバーがその切り替えで,下側に動かすとオート,上側にするとマニュアルになる。オートの時は絞りリングの位置に関係なく開放(f1.8)で,撮影時だけ自動的に絞り込まれる。マニュアルの時は常に絞りリングの設定に絞り込まれることになる。ちょっとややこしいけれど,この自動とか手動というのはペンタSPに着けたときに自動になるという話で,完全コンピュータ制御のEOSではもちろん自動絞りは働かない。
なのでどうするかというと,ピント合わせの時はオート(開放)にしておいて,その後マニュアルに切り替えて撮影,という手順になる。もちろん絞り込んだままピント合わせをしても良いけれど,レンズから入ってくる光量が減るのでファインダが暗くなる。
EOS側の設定だが,必ずAv(絞り優先AE)か,M(マニュアル)にする。画面表示は写真のようになって,レンズ情報がもらえないので絞りは「F00」と表示され,変更もできない。当たり前だがオートフォーカスも動作しない。
ただし測光はちゃんと動作するので,Avモードにしてピントを手動で合わせ,絞りをマニュアルにして絞り込んでやると,そのときにレンズから入ってくる光に応じて適正露出となるようにシャッタスピードをEOSが決めてくれる。Mモードの場合は露出計の表示を見ながら手動でシャッタスピードを設定する。
あとはシャッターボタンを押せば写る。
EOS Kiss X2 / SuperTakumar 1:1.8/55 (EOS-M42 Mount adapter)
とまあ,手順としてはそれほど難しくはない。普段絞り優先AEやマニュアルフォーカスを使ったことがある人なら,すぐできるだろう。
ただし,である。あらためて思い知らされたがEOS Kiss X2のファインダではマニュアルフォーカスが恐ろしく難しい。よっぽど明るくてエッジの立った被写体(文字とか)か,絞り込んで風景を撮るならともかく,1m以内に近づいて猫を撮るのは至難の業。「なんとなく合ったかな?」と思ってもボケボケばかりで,最初はアダプタが不良品なのかと疑ったくらいだ。
ライブビューで拡大すれば合わせることができるが,猫を撮るときにいちいち構図を決めて,画面を拡大して,ピントを微調整して...なんてやっているヒマはない。やはりEOS(というよりKiss系?)というのはオートフォーカスでの使用が大前提だな,というのを再確認。
確かにEOSのオートフォーカスは速いし優秀だけれど,それに頼らないとまともに撮れない,っていうのは趣味のカメラとしてはちょっと問題があるような気もする...。
まあ,せっかく買ったマウントアダプタなので,タクマーはもう少し遊んでやりたい。しかし,一言で言って「使い勝手がとても悪い」ので,ジャンクのロシアレンズなどを買い漁ることはないだろう(たぶん...)。同じマウントアダプタでも,電子接点付きでフォーカスエイド(合焦判定)が効くものだったら,それを頼りにできるかもしれない。が,そういう製品は1万円くらいする。
たぶんこの最新式のEOS本体よりも,40年前のタクマーレンズの方が長生きすることになるだろうな...。