●アコースティックギターFG730Sその後(サドルとブリッジピンの交換)
FG730Sの弦を交換するときに気になっていたことがあった。それはみすぼらしいブリッジピンである。
純正のプラスチックのブリッジピンは,先端にバリが残っていて,投げやりに作ったプラモデルのようだ。これがせめてサンドペーパーで磨いてあればどれほど良かったか。普段は見えないところで,音には関係がないとは言っても弦を交換するたびに安物であることを意識してしまう。
そこでブリッジピンの交換だ。どうせならサドルも一緒に交換してしまおう。今回の目的は「音を良くする」というよりは,「楽器を手に持ったときの精神的な満足度をアップする」ことである。あと弦高を少し下げたいという理由もある。
注文したのはTUSQ(タスク)という人工象牙素材のもの。
ブリッジピンにはプレゼンテーションスタイルとトラディショナルスタイルという2種類の形があるが,FG730Sに合うのはトラディショナルスタイルのもの。純正は黒いブリッジピンだが,変えたことがわかるように白いものを選んだ。型番はPP-1142-00。
サドルはどれを買っても結局加工が必要らしいので,弦が当たる部分が複雑にカットされていて面白そうなPQ-9280-C0をチョイス。
サウンドハウスは今回初めて使ったが,土曜の午前中に注文して,ネットバンクで入金したら当日発送されて日曜の午前中には着荷した。送料は310円だった。
まずブリッジピンの交換だが,弦をテンションが感じられなくなる程度まで緩めて(ペグから外さないで),古いピンを外して新しいものをつけて,再度チューニングを合わせる。アコギでできるチューンでは一番簡単な部類だろう。弦の張り替えよりも簡単だ。
気をつけなくてはいけないのは寸法が合わない場合で,穴が大きくてピンが多少ゆるい程度なら問題ない(弦を張るときだけピンを抜けないように押さえておく)が,問題はピンが太くて穴に入らないケース。じつは先日楽器屋に行ったときに寸法も何も書いていない牛骨ブリッジピンを買ってきたら,これが太くて真ん中くらいまでしか挿さらない。こういう場合は穴を広げるかピンを細く加工する必要がある。結局うまく加工する自信がなかったので,この牛骨ブリッジピンはギターの師匠に買い取ってもらった。(師匠のギターにはぴったりだった)
次にサドルの加工。
最初は厚みの調整。純正サドルは厚み2.9mmで,溝に対してかなりゆるい。買ってきた状態のタスクサドルは厚み3.3mm。さすがにこれではぜんぜん入らないので,サンドペーパーで削る。説明書には#150のサンドペーパーで荒く削って,#600で仕上げろと書いてある。厚みの目安は逆さまにして抜けない程度。100円ショップで買ってきたサンドペーパー(耐水ペーパー)で,3.1mmまで削ったらぴったり収まった。所要時間は約30分。
時間がかかるのは高さの調整。純正サドルとトップを合わせて,底面をどこまで削るか鉛筆でしるしをつける。2mmくらい削らなくてはいけない。平らな台の上にサンドペーパーを乗せて,斜めにならないように気をつけて削る。削る量が多くて手が痛くなってしまった。所要時間は約90分。
とりあえずここまでやって疲れたので,本体にセットして弦高を確認する。この時点で弦高は純正とほぼ同じで,6弦12Fで3.0mm。せっかくなのでもう少し削って,3mm弱まで弦高を下げた。この調整にさらに60分ほどかかった。確認するのにいちいちチューニングをやり直さないといけないので,結構大変。
サドルやブリッジピンを,プラスチックよりも硬質なTUSQに変えると,高音が良く出るようになるとか,サスティーン(音の持続時間)が延びると書いてあるページも多いが,それを具体的なデータで示したページはないように思う。考えてみれば変更前と変更後で入力をまったく同条件(同じ強さで弾く)にするのが不可能なので仕方がない。
しかしせっかくPCM録音機と解析ソフトがあるのだから,当ページでは他のサイトとの差別化を図るため,いずれデータで検証してみたいと考えている(無謀か?)。
今のところはブリッジピンで見た目が変わり,サドルも自分で加工して付けたという達成感だけで満足である。ギターにもより愛着がわくというものだ。