出力5Wのハンディー無線機VX-7でアマチュア無線局を開局してからそろそろ2ヶ月。年末は仕事も多忙でまったくQSOできなかったのだが,親切な地元アマチュア無線クラブのメンバーの方より,お正月のQSOパーティーには是非ご参加くださいとお誘いを頂いた。
QSOパーティーというのは,JARLが主催している毎年恒例のコンテストで,今回で65回目。お正月の1月2日9:00から3日21:00までの36時間に,どのバンド,モードでも構わないので20局以上と交信して,シグナルレポートとオペレータ名を交換するというもの。20局を達成すると,その年の干支をあしらったシールが1枚もらえて,12回分集めると「NEW YEAR PARTY」の文字が完成して,記念の盾を買うことができる,というありがたいコンテストである。
ご参考:JARL QSOパーティーの要領
前にも書いたが何しろアマチュア無線家は気が長い。このQSOパーティーも,毎年欠かさず20局との交信を達成したとしても,完成までに12年かかる。もしも都合が悪くて参加できなかったとか,運悪く交信局数が20局に満たない年があると,同じ絵柄が回ってくるのはまた12年後ということになる。
しかも多くのアマチュア無線家はほとんどマゾじゃないかと思う。QSOパーティーだって,「20局交信達成した方にシールを差し上げます,ただしシールが欲しい人は切手を貼った返信用封筒に宛名を書いて送ってね」,さらに12枚シールを集めた人も「あなたのコールサインを入れた記念の盾をお送りします。ただしお金は振り込んでね」である。
総務省に電波利用料を払い,JARLに会費を払い,QSLカードを自腹で印刷し,高い無線機とアンテナを買って,何の金銭的見返りも求めない,そういう人だけが一人前のアマチュア無線家になれるのである。収入のないジュニアハム(学生のアマチュア無線家)や若いハムは十中八九私財を投げ打ってアマチュア無線の発展に貢献した無線家のご子息と考えて間違いない(ごく少数だが学校のクラブ員もいる)。アマチュア無線の歴史を考えると,現在世襲3代目くらいのハムもいると思われる。
さてQSOパーティーである。2日の9時前から144MHz帯FMモードの呼び出し周波数である145.00MHzおよび同じく144MHz帯の地元クラブの待機周波数をワッチしていると,9時ちょうどから一斉に「CQニューイヤーパーティ」が聞こえて来た。
そしてあっという間にパイル(複数のアマチュア無線局が応答すること)になってしまった。周波数を変えると144MHz帯は20kHz刻みで隙間なく交信が行われていて,こんなのは初めての経験である。とにかく次から次へと交信が続くので,なかなか自分が出ることができない。
気後れしているうちに,地元クラブの方は待機局も一巡したようで静かになったので,最初にCQを出してくれたローカルさんを呼んで,1局目をクリア。そうしたら次々とローカルさんに呼ばれて,10局近く稼ぐことができた。
(写真はちょうど交信しているときの様子。緊張して肩に力が入っている)
あとの半分はクラブ以外の方と交信するしかない。CQを自分で出す度胸はないので,CQを出していて比較的応答している局が少なそうな周波数を探して応答するという作戦で少しずつ数を稼ぐ。かんなさんも手が空いているときは「XYLとも交信お願いします」とお願いして,QSOしていただいた。どの局長さんも大変親切で,ビギナーの私たち夫妻とも気持ち良く交信してくださった。
ただ,アクティブな局はほぼ最初の2時間ほどで20局をクリアしてしまうようで,その後はめっきりCQが聞こえなくなる。お昼を食べて午後も続きをしようとワッチするが,なかなか数が伸びない。夕方からまた少しアクティビティが上がって,1日目終了時点で18局という結果。
3日も9時からワッチを開始したところ,やはり2日に20局に届かなかった局がけっこう出ていて,無事に20局をクリアすることができた。
144MHzでアンテナもしょぼいので,あまり遠くまでは電波が飛ばないけれど,7エリアのいわき市の局と4局ほど交信することができた。
近所の山に登って移動運用されている局があったり,新年会をしながらほろ酔いでQSOしている局もあり,とにかく普段はあまり電波を出さないけれど,QSOパーティーだけは出てますという局がけっこうあって,ああそんなものかな,と思った。普段付き合いはないけれど,年賀状交換だけはする,みたいな感じかもしれない。
一応VX-7で電波が出せる50MHzのAM,FMと430MHzのFMもたまにワッチしていたのだが,こちらはほとんど聞こえず。FMは144MHzに集中していたようだ。
より遠くまで飛ぶHF帯が使えるならともかく,V/UのFMだけだと,正直20局はけっこうハードルが高いな,という印象。私はクラブの方の協力があってクリアできたが,田舎だとそもそも電波が飛ぶ範囲で運用している局自体が少ない。そういうところでは高い山に登るとか,人の多いところに移動して運用するなどの工夫が必要になると思う。
まあうちの環境ではコンテストなどめったに参加することはないと思うけれど,QSOパーティーだけは来年も続けられたら良いかな,と思える2日間だった。