ツィッターで何度かつぶやいているが,iPod touch(第4世代)の購入を検討中である。
その伏線としては,Macを新調したことでFaceTime(ビデオ通話)が可能になったこともあるが,大きいのは現在Windowsの専用ソフトで書いているプライベート日記をなんとかしたい,ということだ。
プライベート日記は1997年にWindows95搭載のダイナブックを購入したのをきっかけに始めたものだ。フォーマットは千年日記というシェアウェア独自のバイナリで,すべての日記データがひとつのバイナリファイル(パスワード付き)で管理されている。
一人暮らしの頃は寮に帰ってからその日の日記を書くようにしていて,これはこれで特に問題がなかった。その後カシオペアFIVAというA5サイズのモバイルノートPCを手に入れ,これをほとんど常時持ち歩くようになって,日記以外にもスケジュール管理や会議のメモ取りなどもFIVAでするようになった。この頃がモバイル環境として一番充実していたかもしれない。
その後会社のセキュリティ対策が厳しくなり,FIVAなどの私物のパソコンを職場に持ち込むことが禁止されてしまった。USBメモリを使って自宅と会社でデータの同期を取っていた時期もあったが,会社のパソコンは原則データの書き出しが不可に設定されてしまったり,自宅のパソコンをMac(PowerBookG4)に変えたこともあって,日記のファイルは会社だけに残された。
で,現在は会社で日記をつけるような使い方である。しかし基本的にはプライベートな内容であるし,自宅で日記を書いたり読んだりできないのはやっぱり不便。
なんとか会社のセキュリティを遵守しつつ,プライベート日記を書き続ける良い方法がないか,ここ数年考えていたというわけ。
理想的には(1)いつでも携帯できて,(2)会社に持ち込んでも問題がなく,(3)長文入力がストレスなくできて,(4)過去の日記を高速に検索できるようなモバイルデバイスがあれば良い。
キングジムのポメラというデバイスが(1),(2),(3)の条件を満たせそうな感じなので,かなり気にはなっていたのだが,(4)はちょっと厳しいだろう。
普段使っている携帯電話(auのS002)も(1),(2)は満たすが(3),(4)に関しては絶望的である。
そこでiPod touchはどうだろうか。今のところ会社への個人のスマートフォン(というかPDA)持込みは黙認されているので,(1),(2)は問題ないだろう。(3)はタッチパネルでの入力は未知数だが,例えば折り畳み式のBluetoothキーボードを一緒に持ち歩けば良さそうだ。(4)は現在のWindows用ソフトはiPodで動かすことはできないが,Evernoteというネットのサービスを使えば,テキストファイル化した日記データを高速に検索することはできそうだ。もちろん会社ではオフラインだが,数年すればどこでもWi-Fi環境がもっと安価に使えるようになるのではないか。
それならiPhoneにすれば良いのではないか,と考える方も多いと思う。しかし現在の携帯電話に加えてiPhoneの月額料金はちょっと許容できない。だいたいSBM(旧Vodafone)の商売のやり方が好きではなくて契約解除したという経緯もある。
とはいえなかなかiPod touchの購入に踏み切れないのにもまた理由がある。iPodにしろEvernoteにしろ,私が日記に対して求めている,数十年単位を前提としたデータ・サービスの継続性を担保できるとはとても思えないのだ。例えばEvernoteにどんどん日記のテキストを放り込んでいったとして,数年後に「事情によりサービスを終了します」となったら,そのときネット上にあるデータはどうなってしまうのか。自分のパソコンのHDDがクラッシュすることによるデータ喪失の心配はないかもしれないが,ネット上のサービスにはそういう不安がある。多くの人は数年使えれば文句もないかもしれないが,日記は自分が飽きなければ死ぬまで書き続けるものだ。
そう考えると,すべてのデータをEvernoteだけでなくローカルにもバックアップする必要があったりして結局は煩雑になってしまう。「簡単に書ける」ということも日記を続ける重要な要素なので,いちいち面倒だと続かない。
でもやっぱりiPod+クラウド(Evernote)という環境は今後の主流になりそうな気もしていて,試してみたいという気持ちもある。「現在持っているものの性能が上がるだけ」という買物ではなく,まったく新しい使い方ができるデバイスというのはわくわくするものだ。
ライフログという言葉も聞いたことがあるが,日記とかEvernoteのような,「個人のデータを一生保管する」というようなサービスは本来,生保会社がやるべきかもしれない。終身保険を契約すると,生保会社の地下にあるサーバに領域が確保されて,そこをEvernoteのように使うことができる。そしてその個人が亡くなったとき,保険金とともにサーバのアクセス権が遺族に譲渡されるのだ。
もっとも,大手生保ですら破綻するような現代ではそれも難しいかもしれない。やはり泥臭いけれど,もっとも単純な形式(.txt)で,その時々の最新のパソコンなり記憶デバイスに次々ファイルを移していくのが確実なのかもしれない。しかしそうすると利便性がなぁ...。